ホラーゲーム実況・声真似などで活動しているVtuber、YU-さん(https://x.com/YU_gamegame)に
ボイスドラマを想定したシナリオ脚本をお送りしました。
+++導入部分(カット可)+++
SE(ドアを開ける音)
SE(電気をつける音)
「どうぞ入って。あ、ドア閉めてね」
SE(ドアを閉める音)
SE(椅子に座る音)
「今お茶を入れるから楽にしてて」
「……ん、心配? 大丈夫。ここは多重結界の中だからどんな呪いや祟りもここでは効果がないんだ。もちろん、死霊・生霊・妖怪なんかも」
「まあ同じくどんな加護や守護もここでは無意味になっちゃうんだけどね」
「え? どうやってって……どうやってんのかな? わたしはここを使わせてもらってるだけだから仕組みはよくわからないんだ。ごめんね」
SE(水を注ぐ音)
SE(机にカップを置く音)
「お待たせ。まずは喉を潤して。話はその後で聞くからね」
「…………」
「……どう? 美味しい?」
「少し苦い? はは、そうかぁ」
SE(手を叩く音)
「さて、それじゃお仕事の話をしようか!」
「改めて、PaCS……Paranormal and Cryptids SearchのYU-です。よろしく!」
SE(OPジングル)
「えーっと……話をまとめると、半年前に君を含めた4人で廃神社に探検に行った後から怪現象が起きていて……」
「……今月までに、お友達が3人亡くなってしまった……」
「なるほど。それで、『次は自分だ』……となって、わたしに繋げたってわけか……」
「結論から言うと、これは『呪詛』だよ。ダメだよ、興味本位でそんなとこ行っちゃあ」
「……こういうお小言もね、生きてるうちしか聞けないんだから、聞いときなさいね」
「実際に現場を見てみないとどう言う手段を取れるか判らないけど……依頼を受けるからには最善を尽くすよ」
SE(場面変換ジングル)
SE(無線の音)
「あー、あー。こちらYU-、現着しました。《本部》応答願います、どうぞ」
『こちら《本部》、感度良好です。YU-さん現状報告ください、どうぞ』(読み上げ不要、間隔把握用)
「現地時刻0055、丑の刻まで対象者と待機後、異変遭遇時は都度対応、対応不可時は退避、
退避不可時は回収よろしく」
SE(無線の音)
『了解、幸運を祈ります。以上』(読み上げ不要、間隔把握用)
+++導入部分ここまで(カット可)+++
「……ふ──……さて、君。心の準備はいいかな」
「……ああ、そんなに震えないで……って言っても無理、か。こんな真夜中に寂れた廃神社にいればそりゃ怖いな」
「扁額も朽ちて元の名前も判らないな……」
「ここ、地元じゃ有名な心霊スポットなんだって? 元は神様のお社だっていうのに罰当たりだね」
「来る前に少し調べてみたんだけど、20年くらい前までは小さなお祭りをするくらいの神社だったらしい」
「当時の区画整理で、神社も移転予定だったけど、境内の土地を削るだけで社は放っておかれて、忘れられちゃったのかな」
「管理する人もいなくなってご覧のありさま……」
「鳥居こそ形が残ってるけど、拝殿は壊れたのか壊されたのか……ここから見ても不憫な姿だね」
「君とお友達も、中まで入ったのかな? それで『呪詛』を受けてしまった……どこまで行ったか、何があったか……案内を頼むよ」
「……さぁ、丑の刻だ。」
SE(不穏なBGM)
SE(草木を踏み進む音)
「……あぁ、空気が変わっただろう?」
「もともと神社というのは、基本的に日が落ちるまでに参拝するものなんだ」
「加えて今は丑の刻……あの世とこの世が一番繋がる時間帯だ」
「そうそう、丑の刻参りとかの丑の刻ね。よく知ってるね」
「まさにここも、今でも丑の刻参りに使われるみたいだ。怖い怖い」
「あ、今から拝殿に入るけど、できるだけわたしから離れないようにね」
「それじゃ、ライトをつけるよ……」
SE(懐中電灯をつける音)
SE(板間を踏む音)
「土足で失礼しますよ……っと」
「……やっぱりだいぶ傷んでるなあ。劣化もあるけど、面白がって壊す輩がいるからね」
「……え? そんなことしてないって? はは、君のことじゃないよ」
「で……君とお友達はどこまで行った? ……もっと奥? あー……本殿まで行ったのかあ」
「……じゃあ、もう少し進もうか……」
SE(板間を踏み進む音)
「……本殿の扉が開いてる……ここは君たちが?」
「あぁ、怒ってるわけじゃないんだ。状況を知りたいだけ」
「……なるほど、君は本殿前で突然靴紐が外れてしまって、直しているうちに……お友達3人が先に着いて扉を開けたのか」
「君が少し遅れて来た時には、お友達が走って逃げてくるところで、君も慌ててそれに続いた、と」
「……本殿というのはご神体が納められている場所で、神様の姿は本来《見てはいけないもの》だ」
「《見てはいけないもの》を見た者には障りがある。相手が神様の場合、最悪祟られる」
「……意外な顔をしているね? 神様は祟るよ? と言うより、神だから祟るんだ」
「あ、ちなみにわたしは神主でも術師でもないから、相手が神様の場合は対象外です」
「……しっ、大きな声を出さないで……そもそも神様を退治なんてできるわけないでしょう」
「落ち着いて落ち着いて……誰がどこで聞いているか判らないんだから」
SE(センサー音(短))
「外気温が2℃下がった…………あぁ、気づかれたかな。仕方ない……」
SE(鞄を探る音)
「……ん? 何って、撃退準備だよ。この銃自体はどこにでもあるエアガンだけど、銃弾は……」
「新旧聖別・禊祓・加持祈祷済みの三呪混合ゴム弾!」
「霊的存在相手なら十中八九対応可能。《何かわからないもの》相手の初弾としてはこれ以上のものはないね」
「『物的存在相手なら? 』 そりゃあ……ゴム弾とはいえ、当たると単純に痛いんだ、これ」
「『神様相手にも効くのか?』 うーん……神様には効かないんじゃないかなあ」
「言ったでしょ? 君たちのは『呪詛』だって」
「最初に事務所に来た時に飲んだ水を覚えてる? あれは特別な井戸から汲まれた水でね。人によって味が変わるんだ」
「君は『苦い』と言っていた……それはなんらかの『呪い』や『恨み』の影響を受けているという証拠だ」
「神は祟る……が呪わない。呪うのは《人》か、《人だったもの》と相場は決まっている」
「故に……今、わたしたちを囲んでいるこの気配は、『呪詛』の主のものと推測される」
「……君、今息苦しいだろう? ……君の首と両腕に強く巻き付いているのは、『呪詛』に喚ばれたものの成れの果てだ」
「君も仲間にしたいんだろう。……仲が良かったんだね。だからこそ、一人逃れた君と今度こそ一緒になろうとしているんだ」
「……耳を傾けてはダメだ。それがどんなに懐かしい声でも」
SE(銃を構える音)
「……復唱したまえ。信仰を失い、己が社を穢されてなお、人を救おうとした《神》のために」
「吐普加美依身多女」
SE(銃を発射する音)
SE(不気味な悲鳴など)
(場面転換)
SE(扉を閉める音)
SE(2回手を叩く音)
「……お騒がせしました」
「……さて、戻ろうか。戻りながら少し話そう」
SE(草木を踏み進む音)
「神社は神の住まう場所でもあるけど、同時に人が神に祈りを捧げ、神がそれを受け取るためのステージのようなものだ。きちんと管理されて信仰が厚ければ神の力も増すけど……」
「信仰が消えれば神の力もなくなり、去ってしまうか、零落して《魔》となることもある」
「一方で『呪詛』も祈りの一つだ。誰かの不幸を願う、というマイナス方面の祈りだけどね」
「……ここを丑の刻参りで使っていた人たちは、ご神体に藁人形を打ちつけていたそうだ」
「本殿の中だし、人に見つかる可能性も低くなって、しかもご神体だからより強く呪えそう……とでも思ったのかな」
「せめてご神木とかならねぇ……ここまで瘴気を溜め込むこともなかったのだろうけど」
「なんにせよ、ご神体は穢され、ご神威は下がり、『呪詛』の威力は高まってしまった。そして、噂は広まり、君たちの耳に届いた……」
「……君たちも……ここに誰かを呪いにきたんだろう? 本当に死んでほしいとかそういうつもりではなかったかもしれないが」
「ちょっとムカつくとか、そういう軽い気持ちで一線を超えてしまうというのは、ままあるものだから、別にそれについては何も言わないよ」
「……そうか、君は止めたのか。でも放っておけなくて結局一緒に来てしまったんだね」
「だから、ここの神様は……僅かに残った力で君の靴紐を引いたんだろう」
「君にだけは……呪いに塗れた体を見られたくなかったのかもしれないね」
「……どうかな。もういないのかもしれない。消えてしまったか、去ってしまったか、……《魔》として出会いたくはないなぁ」
「……うん、君のその気持ちが本物なら……たまにはお礼に来るといいよ。来なくても、忘れないだけでいい。一人でも信仰が戻れば……何か変わるかもしれないから」
SE(EDBGM)
「PaCS Case File-001 神のいた社」
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